Modeling note ヨシムラスズキGS1000 鈴鹿8耐1980
はじめに

本年2月にエンジンだけ完成しました。その続きは「前から予定していた別の作品が完成したら直ちに着手しましょう」と軽いのりで終わっていました。あとフレームと足回りを追加すればそんなに時間もかからない、そのつもりで部品集めをはじめましたが、とんでもない話になりました。順調に準備できたのはダイマグのホイル(C社製)だけでした。

製作図面はエンジン製作時に引いていましたから、ある程度の障害はあるだろうと想定していましたが、先ず素材のプラロッドやパイプ、そして平板などを修正、削るとかか、被せるとかしないと使えないことが分かりました。ノギスと電卓の世界でもまれた図面は数字だらけになっています。1:9スケールはインチでも、センチメートルでも既製の素材は割り切れないようにできています。できるだけ正確に
(これはもはや願望です)しかし妥協しながらスケールダウンをするつもりです。
 7月21日 第1回 難しい部品からはじめました。
製作の前に
この写真は富士モーターミュージアムに展示されていた頃にフイルムで撮影していたものです。07年9月、別冊MC誌に完全修復された特集記事が掲載されています。既に30年近く経過したマシンを元ヨシムラの淺川氏が当時の原型を変えないように保存されている様子が伝えられています。余り多く残っていない当時の資料をできるだけ検証しながら進めていくようにします。
既に細かな貴重な資料もお寄せいただいています。
閲覧下さる皆さんのご支援を力に工作を進めていくようにします。
デスクセンターハブ

今回、最も難しい(私にとって)工作になるだろうと、逡巡していた部分です。1:72の飛行機の机上デスプレイの円錐部分や1:24の大型トラックのホイルなど、何かテーパーの付いた素材の転用ができないかと随分探してみましたが、角度とサイズが一致するものなどありません。結局05mmのプラ板から円錐形を作ることにしました。写真で見れば「なんだこんな事」と思えるのですが、切り込みがテーパー角度になります。大きさが変わっても角度は一定ですから、30mm径で工作をしました。重ね合わせをしないために03mmの帯板で裏打ちをします。センター1mm以上の穴を空け逃がしを作っておかないと割れたり、ひねりが出たりします。
プラセメントと瞬間接着材の併用で3日間くらいかけて固めました。
センターハブとリブ

左上の部品はリブになる1mmのプラ板です。サークルカッターでは上手く切り取れませんから、いつものように小穴を開けて切断、テーパー角度を付けながら仕上げます。そこに前に作った(右上)のハブになる素材をサイズを合わせて裏面から貼り付けます。細かい角度修正をしながら(写真下)のように仕上げます。(前の工作で使った
裏打ちの帯板は完全接着が確認できたところでルーターで削り落として裏面をフラットにしておきます)
センタープレートとデスク

タミヤ1・2mmプラ板でデスクをテストで作ってみました。ワイヤブラシや120番布サンダーなどを使いヘァーライン仕上げで浅い溝のような表現を挑戦しましたが、どうしても満足な結果が出ません。やむ得ずコンバーション(聞こえはいいのですが、日東のCB750Fのキットから5穴のセンター部分とデスクを転用)で約2mm直径を詰めて加工しました。
勿論キットの部品は綺麗にメッキがされています。厚みは両面から僅かラインが残る程度まで削って薄くしています。

写真右

加工前の部品に5穴のセンターを取り付けた後、40度おきにガイド穴を空けます。適切な工具はないので、カッターを使って息を止めて9箇所の穴あけをします。

写真左
ともかく大方の加工作業が終わった状態のハブです。
まだデスクプレートを留めるリベット状の丸ボルトの工作はできていません。
デスクコンプリート

裏側から見た仮組み状態です。
デスクを留める9本の穴を空けて塗装前の状態で
仕上げが終わったところです。
デスク留めネジ

写真が失敗しました。直径2mmのロッドを約1mm厚にスライスして平面部分を、1mmのロッドをネジ部分にして接着した後、厚さ07mmまで削り落としました。
それでもスケール的には厚いのですがプラ素材の強度の問題で妥協しています。このネジの頭はハブのチタンと組み合わされて前輪ではポイントになりそうなので、1本づつ丁寧に18本プラス2本(なくしたり折れたりの予備)を工作しました。

ここまで工作も捗らず10日間もかかっています。
工作風景

凄く汚いですね。最初は綺麗にしているのですが、使った工具を片付けないで次々工具をだして重ねていく習性があるようです。
しかし週間2回は掃除をして工具はあるべき場所に収まっています。

次のステップ。フロントフォークのアッパープレートに着手したところです。

テスト走行?
ガソリンタンクが本番用と違っています。手前のワークシャツ姿はWクリーでしょう。



次回はフロントフォーク周りの工作をまとめます。
 8月5日 第2回  フロントフォークの工作
フォークブラケット上下

実物はアルミ挽き出しスライス?仕上げなのでしょうか
独特の円状のヘァラインの跡が見えます。
実際どうやって塗装で表現するのか全く見通しがついていません。いずれにしても基本ベース素材だけは形をつくることにしました。
アッパーは3mm厚ロァーは4mm厚、いずれもタミヤ製プラ板を使っています。貼り合せて3週間経過したものです。実はフォーク貫通の穴のサイズはこの時点では3・6mmしか開けていません。これが後でとても苦労することになります。
使える素材は何でも

5mm以上のロッドは市販されていません。ABS樹脂の素材であればDIYで購入できますが、接着材の限定と素材の粘りを考えると躊躇して踏み切れません。
これはウエーブ社から出されているガンダム用の部品でしょう貼り合わせ6〜7mmのパイプが作れます。
真円も正確で肉厚も08mm程度あります。
Fフォークボトムケースが何とかできる見込みになりました。
当初、5mmに025mmのプラ板を巻いて実験しましたが、均一に接着ができないことから仕上がりがささくれる、さらに瞬間接着剤で硬化していく繰り返しで、素材段階からお手上げになりましした。


別項に掲載予定ですが作品展を2週続けて見学に行ってきました。工作が止まってこの2週間あまり進捗できませんでした。
Fフォークアクスル部分

アルミ角材から切り出された一体加工されたボトムケース(実車)と同じように作りたいのですが、模型工作では難しいと判断して、部分ごとに作って組み合わせる方法にしました。ここではプラ板積層6mm厚の角材を準備して削り加工をしました。出来上がった部品をFフォークボトムケースに挿し込むます。ホイルがC社のダイマグを使用すると相当の重量になりますから挿入部分を20mm程度とってカッチリなるように・・・・
Fフォークボトムケース本体

前述のウエーブの部品6mm7mmの二つを合わせてケース本体を作りました。写真のようにアクスル部分嵌め込んでこの行程は一旦終わりです。
ボトムケース用の小物

左下の円穴はアンチノーズダイブのピストンをつけるための部材で真ん中から切断してケースの下部に組み付けます。
右側の半円の部品はFフエンダーを取り付けるステーにあたる部分です。実はこれも樹脂製であることは想定できるのですが、資料撮影年度ごとに形も色も異なっています。とりあえず工作上では一番多い写真の形状で準備しています。


左端の上の部品はステアリングヘッドに取り付けるセンターナット類です。「プラ加工です」それが言いたいだけの話でボトムケースとは関係ありませんでした。
ボトムケース半完成

ここまで工作した部品を全て貼り合せてやっと形らしいものになってきました。関連する他のパーツの基本的なサイズを決定させるためにある程度組み上げが必要になります。
ホイルタイヤを仮組みしてシャフトで固定、そこからデイスクの位置やブレーキキャリパーの取り付け角度など、図面上で描いたものと実物の微妙な違いを確認しなければなりません。
ノーズダイブの部分はさらに細かなパーツの製作が必要ですがキャリパーとの兼ね合いで微調整をしながら製作をしていきます。
フエンダー

とても小さい面積のフエンダーですからブロックから
削り出しも可能ですが強度を考えると厚みが必要になり納得できません。ジャンク箱から探しましたが、ジャンクBOXも魔法の箱ではありません。とうとう昔ガレージセールで入手したハーレーWLA1:9のキットから後輪用フエンダーを・・・・・勿論曲面を4分割して組み上げました。素材のままではブルーのプラに一部プラ板を使って強引に組み上げているのが丸見えです。サフエーサー仕上げにしています。
フエンダーステーはアルミ04mm厚を使っています。
(この形状は完全ではありません。資料不足でデッチアップの部分があります)
インナーチューブ

これは最初に製作した部品です。後で苦労というくだりがありましたが、口径4mmのパイプを予定して少し細いフォークだが、工作か簡単だし、ところがボトムケースと組み合わせてタイヤを履いて見ると、やはり細い。
実車は40mm径、ここだけ1:10スケールになりバランスが崩れて当然です。やはり相当気になりもう一度全面的にやり直そうと決めました。
これだけの作業でも実質6時間ほど要しています。やはり、気になる部分はいい加減にすると、必ずつけが回ってくるようです。
アルミパイプの比較

大きいパイプは内径4mm外径4・6mmです。
下側は最初予定した外径4mmのパイプ。明らかに違いすぎます。約4・5mm外径にするため01mmを旋盤に挟んで180番の研磨紙で削り落としました。
勿論この肉厚ではバイト加工は無理です。4mmのアルミロッドを芯に入れて力を入れられるように、さらに手袋をして約1時間格闘の末、4・5mmのチューブが出来上がりました。
チューブナットの加工

クイズヘキサゴンではありませんが、円から6角をキチンとした角度に加工するのは面倒な工作です。
「何だそんな事、簡単だ」と思って加工していくと少しずつ形が変わって出来上がった時には予定より相当小さいサイズになり勝ちです。ポイントは咥えているピンバイスの締め付け部分が6角で冶具の役目をしています。ボルトに平行して削りだしをすると精度の高い6角面が得られます。(素材はアルミリベット平板)
付属の部品について

左からフォークチューブのキャップ。5mm径のリベットから4・5mmに削りだした物です。
中央はその部品に2mm径の穴を空けた行程です。
右端が前述のチューブナットをピカピカに磨きだしたものです。
再製作したインナーチューブ

形状もやっとリッターマシンの迫力が表現できるようになりました。良く考えれば最初からキチンとした工作をしておけばいい結果が出ていたのにと、やっぱり自分はいい加減な人間だなと反省しきりです。

最終的にはブラケットに4・5mm径の穴を空けることになりますが、経験からドリルの刃では薄い外周部分が必ず欠けおちます。リーマーと丸ヤスリを使って慎重に拡大工作をしています。
調子に乗ってアップの写真です。

実は写真音痴の私も考えてみました。カメラの取説はスイッチやノブの名称解説程度で撮影に関しては殆ど意味不明(私の知識程度では)です。接写機能の優れたカメラを買ったほうが早いかも?
今まではそんな解決をしていましたが、今度は実験と思ってカタログにあったクローズアップレンズを購入、装着をして驚きました。今まではカメラの機能外のところを使った写真撮りをしていたようです。どうやら接写ができることが可能になりました。

これからブレーキキャリパーに着手。続いてフレームつくりに入りたいと思っています。
 8月15日   第3回  フレームの骨格を
暑中お見舞い申し上げます。

今年の福岡地区の暑さは半端じゃありません。
都心のビルに気温表示をする電光掲示板がありますが
連日午後になると36度(小数点以下切捨て表示、だとすると
36・9度もあり)と表示されています。



フロントアクスルシャフト
フレームと関係ない前輪の残り作業です。
シャフトが中空になっているので、2mmの真鍮
パイプにタップを切り、真鍮ナットを1mm厚まで
スライス?して組み合わせ加工しています。
これからまだ何度も着脱をしますから無塗装です。
Fブレーキキャリパー部分
図面段階ではそれなりの大きさを想定していたのですが、実際に切り出しをしてみると小さなパーツです。左右対称で2個そんなに時間は取らないと思っていましたがボトムケースに取り付けるための微調整が大変でした。ともかくこの段階ではキチンとデスクプレートが中心になる位置決めに追われました。
この小さな部品も片側で24個のパーツを作る結果になりました。パッドや脱着ピンなどは未工作です。
インフレーム用の冶具
今回はメインチューブに3mmロッドを使用します。
2・4mmパイプの曲げはやってみれば簡単ですが3mmのロッドの場合僅か04mmの違いでも断面では相当大きくなります。単純なRの連続で構成されていますが、左右対称に曲げるのは容易であはありません。今回も平面図から必要なRの形状をした冶具を用意しました。写真では3組ですが実際は6組が必要になります。

ヒント 冶具のRは正確さが必要ですが加熱した素材は冷えると少し元の直線に戻ろうとします。したがって直線に該当する部分を少し余計に曲げ込み平面図に合わせながら少し拡げながら戻して角度位置決めがベターです。冷たいタオルを当てるとほぼ形の変化はありません。
できたフレーム素材

3mm径は4組の曲面があれば骨格はできます。
直線トラス部分は平面図上のサイズで準備、パイプ接合面の凹みを随時3mm径の丸ヤスリで現物合わせをします。ロッドの繋ぎには08mm銅線を使用します。
各ロッドに約6mmの深さで穴を空けますが、センターが出にくいので05mmで下穴を準備するほうが楽です。またT社の3mmロッド中心に穴があるような、ないような空間があります。中心がチョットずれているので、できるだけ真ん中に寄っているものを探します。
3割くらいはあるようです。繋ぎの芯に銅線を使うのは後で想定外の穴をフレーに空ける場合、銅線だともし繋ぎ目に当たった場合、比較的容易に工作ができます。

ステアリングとタンクレール
この写真は裏返し(タンクの下側から見た部分)
自作フレームの工作場合、この部分の精度が最も重要になります。特に曲がり部分と直線を別々の部品で組み上げますから気を抜くと、とんでもない結果になります。プラセメントで仮付けしてT定規とノギスで何度もチエックしながら時間を十分とって工作をします。ある程度固定できた時点で瞬間接着剤で固めています。

80年鈴鹿用のフレームはステアリングヘッドにメインフレームが巻き込んだ形状になっています。フレーム上面に補強板が溶接されています。不明点ですが、あるいは下面にはステアリングヘッドと補強板を支える縦の帯があるかも知れません
アンダーフレームとシートレール
引き続いてエンジン架装をする下のフレームを同じ要領で組み上げていきます。右側のHの形はシートレールの部分です。
写真は前後反対になっています。少し跳ね上がったほうが後方でシートカウルを取り付けるバーが追加されます。シートレールは2・5径のプラロッド構成されます。
骨格だけ完成
初めからわかっているのですが、このフレーム右側にはバッテリー収納用にメインフレームの形状を変えてあります。
工作手順から考えると左右対称の位置で切断して、右側だけ必要な曲面フレームを追加しています。このままではシートレールが組み合わせられませんので、骨格部分が大方できたとして区切りを入れます。
エンジンのマウント
重要な作業としてエンジンのマウントがあります。
平面図面ではエンジンはキチンと所定の場所に納まる予定ですから、あえて骨格完成まで仮組みなしで工作を進めてきました。エンジン完成品とか勝手な言い分で付けられるもの全部組み込んでいましたからやはり、ワイヤー類とダイナモアッセンが邪魔になってそのままでは架装できませんでした。(フレームをチョット拡げて押し込めば簡単なのですが、今回のフレームはびくともしませんでした)左右、全部で8箇所のマウントラグを用意しなくてはなりません。
横から見た仮組み
振動防止からラバーブッシュを介した架装になっているためフレーム直止めのハンガーラグ、別部品になっているラグなどそれぞれを位置あわせをします。
エンジン後部の吊り下げ部品を残しています。
ダイナモ関係は取り外しています。
少し見通しがついた気持ち?
最後に排気管がキチンとフレームを挟んで組み付けられるのかを確認しました。製作図面では左右2mmの間隔でしたが何とか計算の範囲に収まっていて安心しました。シートレールを取り付けメインフレームを追加、右側はメインフレームをオフセットしてやっと見通しがつきました。これからボックス型の特徴的な後輪スイングアームを作ります。角アルミの形状をどうやって表現するのか、しかも後輪デイスク部分が大きくオフセットされている・・・・見通しはついたがそう簡単に運びそうもありません。
1980年7月26日
ヨーロッパGPの合間に呼び寄せられて鈴鹿サーキットを
快走するG・クロスビー。
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