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SUZUKI TR50  1963〜64 50cc市販レーサー(輸出専用) フルスクラッチ作品 連載4回

前回の製作マシンは国内で知られていないスズキ輸出専用市販レーサーでしたが、スズキマシンにはまってしまい、もう1台の市販レーサーです。私の大好きな小排気量50ccマシン、4年前にE・デグナーがマン島で優勝したRM62を製作しましたが、その時に一緒に収集した資料に、今回新たな資料が揃いました。いまスズキレーサーにはまっている間に是非完成したくて挑戦しました。資料の検討段階から市販マシンとファクトリーマシンでこんなに違いがあるのとまあ驚きの連続でした。
下の写真が製作モデルです。これまた地味でなんとなくレーサーから距離感を覚えるようです。国内ではCR110に席捲されていた50ccレーサーの市場を避けて輸出専用と徹底した戦略で欧米市場に臨んだのは正しい決断だったのでしょう。

ちなみに1967年マン島TTでは、トミーロブが3位に入賞の実績を持つています。

TR50のこと

下の写真はスズキスーパーテックで10年くらい前の撮影写真です。フレームはブルメタ、黄色の部分はモトクロスマシンRHイエローで塗装されています。
この仕上げには若干抵抗があります。RM62との違いは下のスペックのようにピストンバルブ方式とフレームの形状が全く異なります。円形のシリンダー、同等の大きさのマグネト、ストッパー付のロングシート、大容量の膨張排気管、スズキでは多分デグナー亡命前から準備されていた特製マシンだと思います。
国内では輸出入証明を揃えて横浜の税関で引き取っていた?そんな話で一部販売店の店頭に展示も散見されました。残念ながらコースでの勇姿は見たことがありません。さて模型ですが今回少し変わった工作を展開したいと考えています。
 7月11日 面倒な部品から始めよう 第1回
F・カウルステイ

いつも最後の工作にしていますが、TR50の場合、カウルスティと回転計、そしてそれをマウントするラバー材質などかなり複雑な構造になっています。細かいこれらの材料は真鍮パイプを使いますが、半田付けが難しく完全に流すと先につけた所がポロリと。とうとう面倒ですが接合部には06mmの穴を開けて真鍮線を通してまとめました。
芯材があることでかっちりと組み立てることが出来ました。


組み上げたスティ

芯材があることでかっちりと組み立てることが出来ました。メタルプライマーの完全乾燥に神経質になっています。(乾燥が遅く1週間くらい放置しています)

素材は1・8mm、1・4mm、の真鍮パイプ、02mm洋白板の組み合わせです。
リムの補修

最近はコスモさんのナロウ36穴のリムを使っているのですが、今回のTRは通常のHリムと少し形状が異なります。新たにリムを作ることにしました。ジャンクにあった古い少し溶けたようなリムのサイドを削り落とし05mmのプラ板を貼り付けてそれらしく似たような形になりましたが、今悩んでいるのは実寸05mmの縁の処理です。
裁断したり貼り付けはいいのですが、十分の接着がきかかなくて仕上がりが少し汚くなることです。

このままにしておいても作業は進みますから、もっと後で結論を出します。
ハブとブレーキドラム

写真でお分かりのように、今まで作ったハブでは最小だと思います。この部分が強調されるとスーパースポーツ的な独特の雰囲気が消えてしまいそうです。感覚的には自転車のようなひ弱いハブ・・・・・
プラ素材を使うとスポークの取り付け強度が問題になり若干限度があるようです。計算値で03mmほどモデファイをしています。
ステアリングプレート

ほぼ完全資料だとの認識で削りだしましたが、もう一度写真を詳細に見るとアッパープレート(中央)の材質はどうも鋼鈑プレスではと思われます。緩やかな曲面で肉抜きされていて当時、鋳鉄ではではきわめて難しい仕上げです。

モケイ屋の便利なところで05mmのプラ板を上から重ねて、出来上がりは写真資料のとおりに考えています。
Fフォーク

プレートにあわせてフォークをまとめました。
インナーチューブ3・6mm外径、内径3mmのアルミパイプです。この組み合わせではボトムケース4・8mmプラロッド、5mm径のサスコイル受けでほぼ縮尺に近いものになります。(3・6径のパイプは電気材料店で入手できます)
先にフロントアクスルの数値が決まるとフエンダースティ、アクスルシャフトなど細かな数字が設定できます。
後輪スイングアーム

特別の説明もありませんが、Fフォークの設定と全く同じ考えでリヤアクスルの数値を確定させておくと、後輪のドライブスプロケットの厚みチエーンラインの設定など
エンジン、ドライブライン、トルクロッドその他の微妙な位置決めが完全になります。
逆に言えばスクラッチ製作の落とし穴みたいなものです。材質は3mmプラロッドです。
フロントフエンダー(上左右)
スクラッチの場合難しい工作は空洞の3次曲面です。いつも、ジャンクから探してとか少しいい加減な事で濁していますが、3分の1以上覆うフエンダーは時間をかけてプラ板から工作しています。
タイヤの外径にあわせて1.5mmのプラ板(タイヤ幅から1・5mm小さく)曲げて、同じく1.5mmのプラ板に貼り付けます。接着が確認できたらフエンダーの側面(幅約5mm)を残して切り取ります。その後で反対側の側面を同じように貼り付けます。
1.5X1・5の分厚い角ばったフエンダーが出来上がります。完全接着(たっぷり瞬間接着剤を)を確認してからルーターで丁寧に面を取りながら丸みをつけていきます。当然内側の縁部分も削りとり、紙ヤスリで仕上げます。
右写真、最後にフエンダーの長さで切断し両端を05mm厚くらいまで薄く処理をして完成です。
 7月19日 海の日 部品つくり(2)
小さな部品

ブレーキパネルにつく前後輪ブレーキレバー
シフトぺタル
点火プラグキャップ

後になると面倒になってジャンクから探したり手持ちキットから転用したりすることが多いので並行作業で早めに作っておきます。これでも点火コイルを忘れています。
ガソリンタンク

なぜか、外つまみ溶接のため全体に耳の縁回しがあります。全体が出来た後で04mmのプラ板を貼り付けています。
タンク素材は2mmプラ板の曲げと貼り合わせでルーターで整形しています。もちろん中空です
下塗りしたタンク

ニーグリップのくぼみ部分を見るために、この段階で1200番サフを軽く吹いて確認してみました。
予定しているアルミ製タンクキャップも仮付けしバランスをみています。
リヤフエンダー

シート下まで回りこみしているので、結局フロントフエンダーと同じ工作要領で製作しました。

使用素材は0・75プラ板を使用しています。
キャブレタ

前回製作TR250と同じフロート別体の三国製Vタイプ22mmが使われています。
ピストンはアルミロッドを磨きだして入れます。
エァフアンネルはプラロッドから旋盤と紙やすりで気長い作業を続けました。
アルミ棒から旋盤で削り出せば一番いいのですが、私の技術では曲面加工は無理です。また専用のバイトも必要だそうで、予選で失格しています。
リアサスペンション

今回、以外に手間取ったのがこの部品です。
1本のサスに10点の部品がひつようになります。部品点数は問題でありませんが資料どおりの形状にするためにはこれだけ分割しないと形になりません。写真では忘れられていますがダンパーケースの外皮になるアルミパイプ、工作途上でどこかに転がって行方不明になったいます。
また、コイル巻き数も違います。塗装終了後にキッチリと修正します。
シリンダーとヘッド

ほぼ真ん丸といっていいようなシリンダーとヘッドです。
ヘッドの垂直フインは両端の2枚だけ大きく外向きに開いています。冷却手段?でしょうか。125ccクラスのシリンダーフインと合わせて考えると空冷2ストエンジンの熱処理対策が大きな課題であったのかが想定されます。ヘッドの工作は大変でした。
クランクケース右側

写真でもわかりますが6速ミッション湿式クラッチ、ピストンバルブとなるとクランクケースは相当コンパクトに作られています。右側ふくらみにクラッチデイスクが収まっています。
しかしプラ工作で困るのは、直径14mmの円錐の工作です。
ここでは、昔の飛行機のスタンドの台座からぴったりサイズを見つけることが出来ました。手抜きですがうれしくなりました。


工作はしていませんがキック用のシャフトも内臓されています。
クランクケース左側

クラッチ側になる部分です。ミッションの分割写真とつき合わせていますが今ひとつ構造が理解できていません。変速シフトレバーの軸はケース右下にあります。
ブレーキパネル類

ハブを製作した時点で用意すべきなのですが、チマチマとした工作なのであとまわあしにしていました。
左側が後輪用です。トルクストッパーアームの形状と
長さが異なります。
マグネト
左、上から見たところで丸いくぼみは?
KOKUSANのマークつく部分です。
右、真横からから見るとこんな形です。

このマシンの点火回路の面白さ。
当時の点火位置は大方が機械式のため12000rpmの高回転をさせると使用しているバネが躍りだして不規則な点火信号しか送りません。発想を変えて1軸に2つの点火接点をつけると半分の回転に変えられます。当然、安定した信号は送れます。画期的な方法ですがマグネトの大きさと、1:2シンクロの精度の問題もありました。すぐに電子式が開発されてこの後このような試みはありませんでしたが。

ロングシート


いかにも市販レーサーを意識させるロングシート。
イタリア軽量スパースポーツマシンに見られる形状です。最も簡単な製作方法で望んでいます。2mmプラ板2枚を積層、ストッパー部分だけプラ端材をブロックにして削りだしています。縁回しには08mmプラロッドを貼り付けて、500番サフで模様見の状態です


全国的に豪雨で何らかの被害を受けられたと思います。
心からお見舞い申し上げます。


博多は空梅雨と思っていましたがまとめて降りました。
あと少しパーツの未工作が残っています。次回それらを完成させてパーツ塗装に移る予定です。


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