MODELING NOTE
File 29
RUMI 125 Junior 1954年 連載6回予定 フルスクラッチ作品




暑中お見舞い申し上げます・
ボルト1本の重量までも緻密に追い詰めて最高の精密マシンを求める日本の技術者たち。
この時代モーターサイクル超先進国のイタリアマシン。決していい加減とかそんな見方ではなく、ある意味おおらかさで自由度に満ちて、それがレーシングマシンの異なった一面で際立ったものを魅せる(見せる)その一面は決して直接マシンの性能に寄与するかと言えばそうでも無いかもしれません。
模型好きが安易にイタリア車の魅力などお伝えできるものではありません。
単純に、好きですから、格好良いから、・・・・・そのレベルです。
そんなイタリアン小排気量でここまで簡潔に煮詰められたレーシングマシンに降参しました。
RUMIは日本ではややマイナーで余り知られていません。今回の製作にあたり資料準備をするなか、日本国内でタイムトンネルで完走できるコンディションのマシンの存在も知りました。集めた資料が殆どイタリア語で書かれたものが中心で私の語学力では解読できない、判断も出来ない言葉がたくさんありました。製作記のなかで誤りを発見されたらご指摘またご教示をお願い申し上げます。
 左の社章に錨が象られていますが、ルミー社は第1次大戦の1920年にイタリア北部のベルガモで兵器メーカーとして小型潜航艇・魚雷などを製造していました。
第2次大戦後、当時としては特殊な高度技術を保有していたことから、スクターの開発とそのクラスの耐久レースにも参加、高い成果を挙げて、本格的な2輪製造も開始しました。
私の解釈誤りと思うのですがシクロ級には余り関心も無かったようで、1951年いきなり125cc2ストローク(水平2気筒)マシンから開発されているようです。
しかも初めから競技参加が前提となるようなスーパースポーツマシンに重点が置かれているような気がします。ミラノ〜タラントの公道レースを初め50年代前半のイタリア国内レースでは素晴らしい入賞実績を誇っています。
 イタリアの2輪メーカーにはこの他アエルマッキなど兵器メーカーの転身が多くあります。
それは第2次世界大戦の終結は日本が敗戦を宣言した1945年8月ですがイタリアはすでに1944年に連合軍に占領されてアメリカの支援を受けていち早く戦後復旧に入り工業生産に着手して民間需要に対応した背景も原因のひとつでしょう。


 今回製作を決定したのは、RUMI社でというよりイタリア小排気量フアンが垂涎の的、1952年発表されたコンペッオーネ・シリーズ2(日本語訳、猫背と呼ばれる)”Gobbetto”が本命なのですが、収集資料の関係で54年発表の市販レーサー”Junior”になりました。フロントサスもアールズからテレスコピックに簡潔なフレームは更に強化されたものですが、今までのユニークな形状のフエールタンクなどが整備性の良い形状に改められています。
逆にそのことがこのマシンがごく一般的な普通の車のように見えて特異性が薄まってしまっているも知れません。エンジン性能でもコンペッオーネを上回るデータなのですが、やはり好き、嫌いとかのスペック以外の問題もあるのでしょう。右の写真は1998年以降にレストアされたマシンですがパーツに現代の部品が相当数組み替えられています。製作モデルは同じ形式ですが出来る限り54年時の部品に戻していきたいと思っています。
実車諸元 
排気量124.7cc  2ストローク水平空冷2気筒  ボアストローク42X45mm             出力9,6hp/7800rpm キャブレタ・デロルト23mm  圧縮比10・5:1 
クラッチ湿式多板  ガソリンタンク容量18リットル  車体重量82kg 
マグネット点火マレリー製



RUMI JUNIOR

  準備編7月28日 図面つくりと資料整理に始まり、その作業のなかでまたもや難しい工作が強いられると思う事がたくさん出てきました。今回も手順は2番、ランダムですが私にとってハードルの高い工作から着手しました。                 第1部1回
フロントハブ(1)
ルーミージュニアのフロント周りの写真です。
プロターではBMWRSでご覧になった逆反りしたスポークエンドです。前にトーハツLDVで工作をしましたが結構プラモ的には難物です。このような工作は滅多にないのですが今回少し詳しくお伝えします。
通常外に向かって下がる勾配角度ですが、その裏返しと考えるとやはり微妙なサイズ問題もあって上手くいきません。2mmのプラ板にパネルの部分の穴を正確に開けます。2mmは厚は糸鋸で切り出しますと後処理が大変です。私は写真の25mm径のリーマーを使っています。欠点は少し時間はかかります。そして加工穴がテーパーになることですが今回はそれが逆に役立ちました。ルーターで慎重にハブ外周まで角度をつけます。斜面は約2・7mmくらいになります。
これくらいないと上下を修正しますので1.7mmのスポーク取り付けと強度が保てません。素材の一辺だけ長くして加工作業を楽にしています。最後の段階で丸く切り落とします。
フロントハブ(2)
F・ハブの右面は写真でお分かりのように一体パネルです
パネル相当部分を用意して、左部分と合わせて裏打ちに03mmのプラ板を貼ります。この段階では裏側」相当部分には何の加工もしていません。接着面積が少ないので補強の」ために瞬間接着剤を流しておく安心です。
完全接着を見届けたら(写真左下)裏側の勾配をつけるように削りだします。外側と全く同じ角度にするとプラ素材の斜め加工はスポークを保ちきれません。03mm程度内側の中心が厚くなるくらいにします。ブレーキドラムの浅めのフインが直接ドラムに付く構造です。言われても見えない誤差ですから・・・(写真右下)お伝えした要領で組み上げたフロントハブ周辺です。ブレーキパネル側に飛び出しがありますが吸気冷却とは違う構造のようです。むしろ防水機構の一部ではかなと、解明できていません。
フロントハブ(3)

写真左)何の説明もありません。第一難関のFハブが攻略できたので興奮してしまい、前の写真にブレーキドラムを撮り忘れていました。ハッキリ言って重複写真ですね。

リアハブ(写真下2枚)

後輪は資料ではほぼ平面に近いものでした。前輪と同様の手順で工作を続けていきます。ただブレーキ径は前輪より後輪が10mm大きい設計のようです。1:9スケールではほんの少しですが、見ればハッキリ分かる差です。
レバー類など比較的ごく普通の部品が多用されており工作も後回しにしています。
  キャブレタつくり      面倒ですが好きな工作のひとつです    
拡大したエァファンネル

(左)加工前(右)加工後の写真ですが随分小さくなりました。
 ファンネル

5mmの削りだしなど到底無理です。今回コズモさんのSPパーツをキャブ23径設定に合うよう加工しました。
写真の撮り方が水平シリンダでMIXボデイが横に寝ています。
アクスル横の耳かきみたいなものはCHレバーです。(写真右下)
 
   

  
キャブレタ拡大写真

2個並列になったマニホールドの後端にフロートチャンバーが挟まれたように取り付けられています。ノギス片手にコンマ以下の調整の連続でした。厚かましく未塗装のままで大きく拡大写真にしています。


写真左下
ホイルはこれもコズモさんのナロウ38穴を旋盤で磨きだししています。
 
工作室から見える博多湾志賀の島全景です。博多はここ何日間か薄曇りで涼しい気候になっています。山笠が終わるといつも激暑なのですが。
次回は難問の2、複雑な水平シリンダーに挑戦します。猛暑の折、皆様ご自愛ください。
     柴田 一弥
 8月5日   エンジンつくり  第1部2回    
2009年もてぎサーキットのパドック風景

いつもお世話になっている静岡のSさんから届いた写真です。
(無断借用をお許しください)

素晴らしいコンディションのRUMI(1953年)125cc
コンペティションモデル
シリーズ2







 

 シリンダーヘッド

毎回、プラ板を短冊状に切って並べてご紹介していましたが、良く考えると
余り意味のない手順写真でした。したがって貼りあわせた出来上がった
状態のヘッドです。普通ヘッド部分はタンクの下にあってほぼ見えないのですが、
このエンジンは水平シリンダーですから前方から全て見える?手抜きが
出来ないのでフイン枚数から間隔まで頑張ってみました。

フインの素材は03mmを使用しています。サイズピッタリでしたが
やはりフイン幅の広い古い空冷エンジンには(工作上での材質)とても脆弱で
作業中に簡単に変形してその修正に終われました。Eグリーン社の04mmが
工作も容易で腰もあるのですが、シリンダー幅に収まることが出来ませんでした。
スタットボルトの部分はフインの間隔が広く作られています。
プラグ穴、ヘッドナットなどこの段階では未工作です。
 
シリンダー

シリンダーの中心部分になります。更に短いフインが上下に追加されます。右写真の上面になっている面がクランクケースにつながります。 
 
これ何?(1)

工作途上で発見?というより気付いたヘッドナットです。大抵の場合ヘッドのナットは普通のナットを深い位置で留めています。RUMIはシリンダーヘッドから突出し、しかも袋ナットでした。サイズもWナットと同じのようです。逃げ道ないかなと資料も調べましたが、全て同じ処理でした。全部同じ高さの袋ナット製作のために角度合わせ、丸みの均一化を図るため定番定規に置いてチエックを重ねたと言う事でした。(こんな作業のほうが最終2000番紙やすりまで含めると時間がかかります)
 
これ何(2)

次々と出てくる不可解な部品
排気管のフランジがシリンダーのように円盤を重ねた放熱フインでした。
4mm径のフインを作るために予め整形した素材をルーターに咥えて外側から鑢をあてて真円をだしました。
小さな円板がスペーサーになります。
 
プラグキャップ

左写真は素材。
このキャップはコルゲーションつきの特殊形状です。これも良く見える位置になります。
初めての部品だったので独特の色合いを確認するため塗装をしています。

 
排気管フランジ(写真左

前述の円板を重ねています。



シリンダーヘッド(写真右)

ヘッドナットも取り付けています。フランジはシリンダー下側(鉛筆マーク)の位置に付きます
 
クランクケース(上面)

写真の上側が前方、シリンダーが付きます。
形状的にはきわめてシンプルなのですが、上面にはシリンダー側と後方のミッション側に放熱フインがあります。前後ともフインの数も厚みも異なります。
工作上の問題点はフインの取り付けでした。フイン03mmと05mmを使っていますが、ケースの半円に合わせるためには断面の工作精度が必要で、何度も修正を重ねましたが完全接着が出来ません。
03mmになると更に面倒で最後は接着剤で汚れまくったクランクケースが予想できました。
結論ですがケース上面の曲面にそれぞれフインと同じ厚みの糸鋸で切り込みを入れてフインを埋め込みました。時間はかかりましたがゴムハンマーでコツコツ叩いて打ち込み後でフインの深さを調整しました。中央にある大きめのキャップは多分オイル用でしょう2mmの金属棒を加工しています。

 
クランクケースカバー右側

水平シリンダーならではの3角形の小さなカバーです。
左の丸い突起がチエンジペタルの位置です。複雑なリンケージを介さない
逆付けペタルが採用されています。
中央部分の上側にある丸い突起はキックペタルの位置です。公道レースへの参加から常時付けられたままのようです。そして右下にある突起がクラッチシャフトの位置になり少し長めのレバーをクランクケース左側にある支点とワイヤーでつながっています。

右下の大きい穴にはU型の蓋(クリップの形をした部品)が被さり、中心に十字に切られた金属のプレートが付いています。此の部分の詳細は解明できていません。
 
クランクケースカバー左側

まるでお玉杓子のような格好ですが、尻尾に相当する部分はチエーンカバーです。資料を調べてもこれでチエーンカバーには殆ど役立っていないように思えるのですが。レース出場マシンによって異なりますが、取り付けネジの位置でカットされてるのも見受けられます。
回転計は標準装備ではなかったようで、レース出場マシン後で取り付けられることが多かったのでしょう。殆どのマシンは回転計のユニットをケースの側面、クランク位置から取り出しているようです。比較的低回転のエンジンで50年代の中頃は回転計はあまり重要視されていなかったかも知れません。製作モデルではユニットを製作しました。(写真下側の部品)
 
エンジンパーツのまとめ

ブロック毎にまとめると意外に少なくてきわめてコンパクトなエンジンである事が分かります。
今回は少し集中して工作を続けました。それでもエンジンだけで約1週間を要しています。もたもたして遅いのか、逆に慌てすぎなのか分かりませんが、接着剤の問題もあり相当手順良く進めているつもりですが、工程表のようにはなかなか運びません。
排気管が未着手ですが、フレームをつくりエンジンを架装してからになります。
 
次回の予告編ではありませんが見苦しい写真でお恥ずかしい。

フロントフエンダー製作の下拵えです。私のジャンクパーツにも転用可能品がありません。タイヤが細めの250:18です。形もきれいな半円カマボコ型で少し難しい3次曲面工作が必要でしょう。フエンダー何度か失敗していますので、今回はキチン仕上げてみたいと思っています。

 
 

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