Modeling note        file 28
 HONDA RC116  50cc GP RACER 1966        連載 3部7回予定       フルスクラッチ作品
ホンダGP挑戦50周年は昨年で終わっているのですが今回の工作にあたり準備を進めるなかで、このマシンに冠のフラッグを掲揚したくなりました。20年以上も前にRC110を製作していました。若干の経年変化はあるものの見ていると何か熱くなってきます。幸い小排気量の工作パーツは僅かですが残っていて何とか取り組めそうです。しかしRC110に比べると部品点数は約3倍以上の工作が必要のようです。資料も1998年に茂木に訪問してたっぷりた撮らして戴いたので、あまりいい加減な製作は出来ないのでこれまで先送りにしていました。今回は工作手順よりもランダムに部品中心で進めていきたいと思います。

RC116製作の前に

工作手順をある程度無視して部品つくりをランダムにやっていくことは、むしろ事前の準備を尽くしておかないとサイズの微妙な違いや、咬合部分のミスなどが発生してむしろその修正に時間を取られ、精神衛生上にもいいことはありません。
しかしきちんと準備して正確に余裕を持って作り出した部品がブロックごとにまとめてピッタリしたときは、どや顔になります。

・・・・久しぶりの50ccマシンで若干とまどっていますが・・・・・


事前準備
1、平面工作原寸図面 3面図プラス見取り図
2、工作素材(平面図作成時に予め書き出し揃えておく)
3、資料(貴重な資料の場合工作台ではコピーを)
4、整理箱を3個(意外に重要なこと)素材箱、工作途中の部品を
  入れておく箱、未塗装だが部品として完成品箱。
5、工具の整理(工作に不要な工具は片付けておく)環境整理?

6、紙バサミB4番 資料写しや写真、図面をまとめるため。
写真左 製作目標のRC116
平成3年本田技研では社内プロジェクトチームを発足して完全レストアをしました。今回の使用資料は大量にになるため出典図書や写真等の紹介は割愛させていただきました。
写真右 13年前、茂木で小生が銀鉛カメラで収めた写真の一部です
 5月16日  クランクケースからスタート 第1部 1回
クランクケース右側面

工作素材のチエックをしながら、ジャンクから何か転用できそうな部品を探してみましたが流石RC116に使えるものはありませんでした。
唯一オイルパン(RC166用)が何とかなるかも知れませんが。
殆どの部品をプラ素材からの加工となりそうです。部品点数が多いので今回は平面図面を等寸コピーして型紙をつくり、使用素材に貼り付けてから切り出しをする手法をとりました。
右側面にならって左側も同じように進めています。
きちんとやれば突き合わせも正確にでますが、何か工作としては少し物足りない気分でした。
クラッチ

RC166のジャンクにクラッチがありましたが、残念ながら6穴で形状が異なります。右側面では一番眼に留まる部分です。本格的にクラッチプレートを重ねてカバー、爪も工作するようにしました。プレートは必要枚数を打ち抜きすれば終わりですが、トップケースは複雑な構造(模型工作上)をしていて簡単に完成しませんでした。
小さな部品に細かい工作を追加するのは難作業です。大きな素材の段階で穴明けなどの加工を済ませて円形の切り出し、リブの貼り付けなどの追加工作で追い込んでいきます。
余談ですがクラッチプレートの枚数は一応実車に合わせています。但し見えている部分だけです。
クラッチ周辺の部品

j実寸で約10mmくらいしかありませんので少し拡大したクラッチデ周りの写真です。
左横に上向きに飛び出しているはオイル注入孔で、右下にある小さな部品は注入孔のキャップです。
サイドプレートの補強リブは08mmの半円のロッドを貼り付けています。
クランクケース左側面の切り出し

基本になるベース部分は型紙から切り出しています。
その上に順次必要な部品を重ねて積み上げます。
一体成形の部品はこの段階で仕上げ加工をして糊付けし組み立てておきます。
資料を調べている時から細かな部品で、その名称も役目も分からないものがあります。
右上の5角形で突起のあるパーツ、クランクシャフトと関係があるのだろうと思いますが何だかわからないままです。
半完成のクランクケースカバー

細かなパーツを追加して何とかひとつのパネルが出来ました。リブは場所によって大きさも形状も違いますからここではプラ平版から削りだしたものや半円ロッドと使い分けをしています。
この後一体成形の感じにするためにリブ周りや重ね貼りした部分を中心に1000番サフを吹きます。
実車はやや光沢のあるゴールドの耐蝕塗装がされています。
 チョット休憩です




世界選手権に排気量50ccのマシンが格上げされたのは1962年でした。すでにヨーロッパでは50年代後半に市販車改造ベースのマシン、街のコーチビルダーやチューナー達が作り上げた高性能なマシンや、モーターサイクルメーカーの造る本格的なレーシングマシンまで含めてレースは開催されていました。
特にイタリアは数多くメーカーが存在し、国内レースの頂点イタリアンカップを目指して競い合っていたそうです。

ちなみにメーカーチャンピオンを獲得したマシンと3位のホンダRCの性能はこのレベルでした。
それでもモペット先進国のマシンに比べると大きな格差があるようです。

  スズキ  RM62  9hp/11500rpm 8段変速  
   ホンダ   RC111  9・5hp/14000rpm 6段変速


開催サーキット        1 位       2 位       3 位
 50cc世界選手権
初年度の成績
1962年度





スペインGP
フランスGP
マン島 TT
ベルギーGP
西ドイツGP
東ドイツGP
イタリアGP

フインランド
アルゼンチン
アンシャイント(クライドラー)
J・ヒューベルト(クライド)
デグナー(スズキ)
デグナー(スズキ)
デグナー(スズキ)
ヒューベルト(クライドラー)
アンシャイント(クライドラー)
L・タベリ(ホンダ)
H・アンダーソン(スズキ)

Jブスケッツ(デルビ)
高橋国光(ホンダ)
L・タベリ(ホンダ)
アンシャイント(クライドラー
アンシャイント(クライドラー)
伊藤光男(スズキ)

伊藤光男(スズキ)
T・ロブ(ホンダ)
デグナー(スズキ)
L・タベリ(ホンダ)
L・タベリ(ホンダ)
T・ロブ(ホンダ)
L・タベリ(ホンダ)

伊藤光男(スズキ)
H・アンダーソン(スズキ)
ヒューベルト(クライドラー)
アンシャイント(クライドラー)
アンシャイント(クライドラー)

 
メーカーチャンピオン  スズキ 46点  クライドラー 44点  ホンダ 33点
ライダーチャンピオン  E・デグナー 41点  アンシャイント 36点  L・タベリ 29点
オイルパンの工作

エンジン側面から見るとクランク真下にかなり大きなオイルパンが取り付けられています。サイズ的にはRC166と同じくらいの深さです。
早速、楽をしたくて転用を考えましたが、やはり形状と冷却フインの枚数も異なるために面倒ですが、シリンダー工作と同じ手順で5mm4mmのプラ板から切り出して貼りあわせの工作をしました。
出来上がったオイルパン

幅約8mm長さ19mm高さ9mmくらいの小さな部品です。写真はフインを強調するため下面か撮っていますが
上面(クランクケースに取り付けると全く見えない)には
2箇所の膨らみがあります。
クランクケースにはパン全体の前半分だけが付けられています。したがって側面から見ると隙間が見える。こんな事になるのでしょう。ドレンボルトも3角形の補強版があります。必要な処置かなと思いますがGP参戦から得た実戦的な対策なのでしょう。
クランクケースのまとめ

不足していたマグネト工作の追加、カムケースの台座などを積み上げまとめました。シリンダーとヘッド、そしてカムカバーなどを見ると、工作手順としてはここで一旦切り離して別工作が賢明のように判断しました。
少し早めに下地塗装などを済ましておきたいものです。と言うのもシリンダー周りの複雑なエンジン造型をみていくと、これは未だ相当の時間が必要と認識しました。
冒頭申し上げたように準備工程は万全で工作の遅れる理由は見当たりません。
ただ少し泣き言になりますが1:9でもRC116は小さくて部品点数が多すぎるようです。
 5月27日   手の込む部品つくりを 第1部 2回
ガソリンタンク(1)

いつも重量が気になって中空で製作していますが
今回の場合、殆ど空間をつくる事が出来ません。
タンクのニーグリップ部分は模型実寸で約9mm幅しかありません。2mm厚のプラ板を積層してルーターで削り落としただけの状態です。
右側にある楕円の穴(ラバーパットを装着)があいた部品は、タンク上面に貼り付けます。タンクの整形後には難しい工作なので事前にふたつに分けて下ごしらえをしておきます。
ガソリンタンク(2)

タンク本体はルーターと紙やすりで仕上げていきます。機能的といいますかきわめて単純な形状でイタリア車のように膨らみがどうだこうだを考えることも無く意外に簡単に運びました。
時間的には本体下に並んだ付属品が大変でした。
タンクキャップ(左端)は樹脂製でタンク本体に付く台座からクリップ状のピンでパチンと挟む構造です。
ピンは未製作ですが同様の仕組みにしました。楕円の板はラバーパット、その下は本体の一部になる子タンク、そしてガソリンコック(転用品を改造)が丸い台座に付きます。(実車はタンク本体がグラスファイバー樹脂製です)
後輪ハブ周り

ご存知ののようにホンダはRC115から前輪ブレーキの変更と前後ホイールの中心部分にアルミ板の整流版を組み込みました。車体重量の極限までの減少と幅狭い車体とあいまって一部サーキットでは横風の影響で高速域で不安定になる事があったりして試行錯誤の連続のようでした。結論、後輪には付けることになりますから正確なサイズで工作しても全く見えなくなるのが残念です。写真でお分かりのように小さなブレーキドラムですが兄貴分と一緒で冷却用フインが付いています。4mm厚のドラム1・5mmのプラ板を貼り付けていますフインの枚数が2枚不足ですが見た目正しいように見えます。少し投げやりでどうせ見えないからいいか・・・それじゃ駄目とがんばりました。
前輪ハブ

部品撮影には手元にあるカッテイングシートを利用しています。皆さんと共通の道具ですから、スケールと実寸の感覚がお伝えできるだろうと思っています。ともかく1角は1cm平方ですから、前輪の異常なサイズに驚くでしょう。まるで自転車のハブのようです。まさにそのとおりでハブにはブレーキ機能はありません。ブレーキはバネ下重量軽減からリムの側面を抑える自転車式です。
話は簡単ですがあの構造をどうやって具体化させるかは問題で先送りです。
それでも車軸の中心部分は03mmの細いスリットを掘り込んでいます。多分良く見えるところでしょう。
 チョット休憩です
 
 







世界選手権に格上げされて2年目、更なるマシンの性能追求と小排気量ライダーの中でも50ccを特別にコントロールできるスペシャリストが要求されるような年だったのでしょうか。
62年チャンピオンのデグナーはライデングより技術者としてのマシン熟成のアドバイスがウエイトとして大きかったのかポイント差は僅かですが3位になりました。逆に前年に続いて第2位を守ったアンシャイトはパワーの面では非力?なクライドラーの複合変速を操る天才的な乗り手でした。
アンダーソンは全てのレースで手堅い走りでポイントを積み重ねてチャンピオンの座を獲得しています。
ホンダは63年は、マシン性能ではまだスズキの2ストロークには及びませんでした。新型マシン開発に重点をおいていたようです。


           閲覧の皆さんから写真を少し大きくとの要望があり 今回から10%ほどサイズアップしました
開催サーキット  優勝者  第2位  第3位
 50cc世界選手権  デイトナGP 伊藤光夫(スズキ) E・デグナー(スズキ) H・アンダーソン(スズキ)
 1963年度  スペインGP H・アンシャイト(クライドラー) H・アンダーソン(スズキ) J・ブスケッツ(デルビー)
 成績表  西ドイツGP H・アンダーソン(スズキ) 森下 勲(スズキ) E・デグナー(スズキ)
 フランスGP H・アンシャイト(クライドラー) E・デグナー(スズキ) 市野三千雄(スズキ)
 マン島TT 伊藤光夫(スズキ) H・アンダーソン(スズキ) H・アンシャイト(クライドラー
 ダッチTT E・デグナー(スズキ) H・アンダーソン(スズキ) 市野三千雄(スズキ)
 ベルギーGP 森下 勲(スズキ) E・デグナー(スズキ) H・アンシャイト(クライドラー)
 フインランドGP H・アンシャイト(クライドラー 伊藤光夫(スズキ) R・アンシャイト(スズキ)
 アルゼンチンGP H・アンダーソン(スズキ) E・デグナー(スズキ) A・パガニーニ(クライドラー)
 日本GP L・タベリ(ホンダ) H・アンダーソン(スズキ) 増田俊市(スズキ)
メーカーチャンピオン スズキ(40点) クライドラー(32点) ホンダ(9点)
ライダーチャンピオン H・アンダーソン(34点) H・アンシャイト(32点) E・デグナー(30点)
メインフレーム(1)

工作手順からするとフレームをきっちり組み上げてそこから主要部品に派生をするのが最も効率がいいのですが、私の心の弱さです。必要にになるまで次に次にと見送っています。しかしエンジンやタンクフロントフオークの形が見えてくるとフレームを完成させないと前に進みません。
お分かりのようにRC共通の細い鋼管2本で構成するバッボーンフレーム型です特徴はエンジン本体もフレームの一部になっています。エンジンレスで、平面図から組み上げるのは予想外に時間がかかります。素材は2・4mmパイプ2mmロッドで構成していなす。
メインフレーム(2)

フレームの曲げ加工は少ないのですが、素材もサイズも小さいので1mm以下のアンバランスも許されません。私もキット以外でこれまで40台程度のフレームを自作していると思いますが。前に製作したブルタゴの鋼板フレームなんかに比べると何と難しいか・・・・・・フレームだけで3日間を要しました。
ステップホルダーはスズキのようにきれいに曲げて工作していましたが、実は誤りで細めの鋼管を上下からつき合わせた簡単なものでした。ステップ等は最後の作業にになり未工作です。
リヤスイングアーム

特別にご説明する部分はありません。ただし車軸は従来2mmを使っていましたが、どうしての他のパーツと比較するとオーバーサイズのようです。
1・6mm1・7mmと調達しましたが全長不足で適切なものが見当たりません。現状は1.4mmを仮設定にしています。

下にあるのはチエーンストパーと飾りネジです。
キャブレタ
精密な分解写真がたくさん公開されています。特に京浜気化器からの資料を見る限り、どこまで工作が可能か問いかけられているみたいです。結局このサイズのボデイとフロート室の作り出しは自分の工作技術では無理だと判断してRC116のジャンクから一部転用にしました。インシュレーターがゴム製で金属ベルトでバインドされています。アクスル強制開閉のドラムや、振動防止固定版などを追加してまとめるようにしています。

シリンダーとヘッド(写真下2枚
クランクケースが先にできておかしな順番ですが、これも基本形だけは固めないとフレームが完成しません。現在ヘッドカバーを残して各部品のすり合わせ中です。
ハンドルとレバー類

車体幅究極まで詰めたせいで、クリップハンドルの形状をだいぶ変わっています。
レバーはフロントフォークより内側に付きます。したがって他のRCマシンと比べるとレバーがチューブ直径分くらい長い(そこまでは無い)のです。考えた末にC社のマタドールというレバーの段つきを削り落として小さなハンマーで伸ばし更に不要部分をカットして準備してみました。
クリップハンドルも資料どおりにプラ素材の組み合わせでまとめています。未工作はアクスルホルダーのみですが、これもデュアル巻取りの複雑な構造のようですから得意の先送りです。
F・フォーク周り

中途半端の状態です。トップ・アンダーブリッジともに完成しているのですがボトムケースが紛失したようです。いずれにせよ自転車式ブレーキの問題があってフエンダーを確定しないとまとめることは出来ません。ここではトップブリッジの曲げですが大きめの四角のプラ板(2mm)をフォーク側、ステアリングヘッド側と2回に分けて異なる方向角度に曲げますが、暖めた後やはりバイスに軽く挟んで曲げるのがベターのようです。そして角度の一致する部分を切り取りして微調整をしています。


次回はシート他、それと工作した部品を一部塗装しないと前に進みません。アップマフラーと放熱板など難しい工作が山積しています。
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