Owner Gallery         #20        FULL SCRATCH
 HONDA RC110    1961年  
  実車データ  排気量 50cc 9hp・14000rpm 5speed 重量45kg (仕様は本田技研発表による)
約15年前もっと以前かも知れませんが、スクラッチ4作目くらいで
ホンダRC110を作っていました。当時すでにグンゼから1:12のハイテックキットが発売されていましたが、何とか1:9スケールで揃えたくて製作したもので、プロタージャパンのホームページに発表していたものです。たまたまストックケースを整理していましたら遂にタイヤがリムを侵食しているのを発見、レストア?しようと思いチエックしてみますと、ガソリンタンクの後縁の膨らみ不足がどうしても気になり修正と手を広げていくと、もう終わりののない闘いに踏み込んでしまいました。前回の作品スズキRM62につづいての細かい作業、小排気量マシンのレストアは、新しく作るほうが確実でより楽しい事を実感しました。今回は「部分的に未消化であった誤りをやり直す」がテーマでした。


右の写真は、今思うと問題点だらけの恐ろしいスクラッチ作品、特にGタンクの後方の曲面が明らかに違っていますね。その他にもクイズ並にたくさん誤りがあるのです。
全日本自動車SHOWで発表された
RC110のカラー写真


1961年オートバイ誌12月号から表紙

 少しだけ実車についてお話しますと、同じ110ですが62年に市販レーサーとして発表されました
CR110はあまりにも有名で、CRのベースになったこの前身のRC110はあまり知られていません。
ご存知のようにRCは工場レーサー・CRは市販レーサーと分けられています。
実は1961年は50ccクラスが世界選手権に格上げされることがほぼ決定していました。
各社こぞって開発をしていましたが、ホンダはいち早くこの年の11月の全日本自動車SHOWで
公開しました。ですがこのRCはあくまでもSHOWモデルで実際に世界選手権に参戦したマシンは、
この後のRC111からです。またこのSHOWには、50ccクラスのレーサーの発表は、
トーハツランペット以外のメーカーは一切ありませんでした。
特にGP参戦、いきなりマン島TT優勝のスズキマシンなど全く情報がありません。
近年ドリーム50という名称でCR110に似せた公道用マシンが発売されていましたが
全く別物で残念です。模型の製作モデルは1961年のSHOW公開のモデルを対象にしています。

1962年50ccクラスに初参戦のマシンRC111型
RC110から外観では前輪ブレーキドラムに空気穴が追加されて、Fフォークのスプリングが内蔵にかわったくらいでしょう。
エンジンは10hp16000rpm以上で8段変速が採用されたといわれています。



   M・ウォーカー著、日本のGPマシンから
 損傷部分を補修しながら誤りを直す (実際はとても無理な課題でした)
リムの補修

この形状のリムはスズキRK66から転用したものでしょう。
リムの内側は柔らかくなっています。

右側 前輪
左側 後輪
 
取り外した前後輪です。
グンゼのキットと同じようにハブが
平板になっています。
見ているとこれも嫌な省略工作の典型でした。
リムの修正と併せてホイル全部を
やり直したほうが良い・・・・・・

とんでもない結論になりました
 
まずハブを作るにしました1mm厚のプラ板から削りだして前後4枚分を・・・・しかしドラムとどう連結するか?

冷却フインを張り合わせて組み上げると簡単に考えて
いましたが、あとで非常に面倒な工作を強いられました。
 

H型リムを作ろう

 前回スズキRM62を製作した時にメタルリムで225サイズに挑戦しましたが見事に失敗しました。
しかしメタル加工が駄目ならプラで作れないかと再挑戦しました。キットに使用されているプラリムの
スポークを全部取りニップル穴も開けておきます。ここまでは従来のスポーク張りの手順と全く一緒です。
メッキも剥ぎ落とします(使用リムはモリーニ250新版)メッキの蒸着糊が残るというご相談が
ありましたが、台所ハイターの原液に5日くらい漬けて起きますと歯ブラシ程度で容易にとれました。
しかしキットによって違いがあるようですが、メッキが落ちても更に4日間そのままがポイントのようです。
話を戻します。下作業をしたリムの側面に05mm厚で細い(1.6mm)巾のリング(写真右)をスッポリと
落とし込んで接着します。
勿論内側はリムが斜めになっていますからリングの内側も斜めにスライスして密着させるわけです。
きわめて時間のかかる工作になります。特にリングつくりは、内外ともに真円を出しておかないと
妙な隙間が出ます。また削る段階でプラ板が延びるようですから、丸やスリとスポンジ研磨具で
慎重に加工します。後で気が付きましたが、このリムを使うキットはスズキRK66とクライドラーだけです。
挑戦するだけの意味が本当にあるだろうかといまだ疑問に思っていますが・・・・・・・


リングの内縁になる部分は丸めておきます。
貼り付け後には削る事が出来なくなります。何度も実物合わせでまとめます。
 
1200番のサフェーサーを軽く吹いて、仕上がりをチエックしていますが、H型特有のリブが盛り上がったそれなりの出来上がりでした。この時点での発見はリムの強度が倍加したことでした。

繰り返しになりますが想いと結果に若干のギャップがあって
実行するだけの意味あいは何だろうかという事です。


塗装してハブとスポークを組み付けるとあるいは狙いの部分が見えるかも知れません。
 
タンクの修正作業

タンク周辺のアップ。タンク後方からシート前へのカーブが緩やか過ぎるのが問題です。細身でありながらカミソリのようなシャープさを併せ持つRC特有のフォルムがこれで大きくスポイルされているようです。


後方のシートも部品としては良く出来ていましたがなんとカビが発生しています。完全に洗い落として再塗装が必要です。
 
白く見える部分が問題の箇所です。当時工作途上で少し調子に乗ってルーターで削りすぎた記憶があります。まあいいか・・・模型の世界ではその言葉は禁句でした。気付いたら決して妥協せずに納得できるまでやり遂げることが大事ですね。このRCはいつも負い目を背負った作品の代表でした。

ともかく10数年年ぶりに名誉回復?の機会ができましたから修正します。塗装を剥がした部分に約2mmほどプラ板で盛り上げる作業です。


 
とても見苦しい写真ですが、タンク後方にプラ材を張り付けた状態です。
あとから思ったのですがこんな場合は新らしくタンクを作るほうが結果的にキレイで早く出来上がります。
単に依怙地になって補修と言うのは考えものです。
 
写真左
タンク後方を約2mm盛り上げて修正・再塗装しました。 RCにはファクトリーの証、銀のラインをひきました。

写真右
シートカウルのヒップ部分を少し削り上げて同じくシルバーラインを。
 

写真右、新に製作したブレーキペタルとステップ、先端にゴムのボールが付いたもの。
      (部品製作ではフエンダーと共に最も手間をとった部分・プラロッドから)

写真下、回転計・タンク・シートと並べて完成気分にはまっています。
     タンクキャップはプラ板から削りだしています。


写真右下、フエンダーとステー。ブレーキワイヤーのガイドあるので真鍮板と
     真鍮パイプに変更しました。

完成写真
 

私ごとで非常に恐縮ですが、ここまでの写真と記述は、補修作業と同時に前に書き込みを済ませていました。これから以降の写真は3月25日以降に撮影したものです。3月20日に福岡西方地震が発生し、完成写真の撮影をと準備していた矢先に工場?の塗料棚から200個くらいのグンゼの塗料が落ちてその下敷きになっていました。ステップが折れたりタンクに細かなキズが無数できました。特に最後に入れた約2mm足らずの銀のラインに・・・補修の補修と言うのは一体何だろうと言いながらも何とか写真が写せる状態に復元しました。
      
写真上2枚 
真横から左右の写真
タンクの修正でやっと61年発表当
時のRC110に近づきました。






スタンドも同じスケールで作りましたがこれは失敗でした。時間的な問題と手持ち材料の関係で1.2mmの銅線を使っています。真鍮ロッドに較べると半田の流れが悪いようで団子付けになっています。私の半田付けの未熟さで材質ではないでしょう。
後日再製作します。
 
撮影映像をHPに取り込んだら今回少し変化しているようです。特に赤色が何か気になります。殆ど写真は加工しないで使っているのですが、縮小するピクセルの割合が把握できていません。もう少しこの部分も習熟しないと恥ずかしいHPになりそうです。  
前輪部分
Hリム挑戦と意気込んだ出来上がりです。ハブもこのサイズになると弱くなりプラ板使用では無理かもと思っています。
フエンダーステーは1mm真鍮パイプを使っています。




シリンダーフインは正確な枚数に変更しましたが華奢になりすぎて従来のままがむしろ良かったかも知れません。キットの細かな問題点なんかを発見するのも楽しいでしょう。また、そのもののらしさ追求もまた面白いと思います。同じシリンダーを3個も作ってみてやっと納得しました。
特に説明も無いような右側の写真です。  
タンクの修正部分を強調した写真です。実際は修正するためにデカルを剥がしました。手持ちスペアが1枚。失敗は許されないときわめて真剣に貼り付けました。

タンクレールの緩衝ゴムは電線材の外皮を使っています。

CRキャブのリンケージは回転式でダブルワイヤーです。本来はワイヤー支えがありますが正しい構造が分かりませんでした。あまり見えない部分ですから省略しています。

クラッチカバー後方の突起はキックペタルの軸です。RC110は後で市販されるCRのプロトタイプと言うのも当然かも知れません

 
  後輪フエンダーは03mmプラ板で3本の打ち抜き?をしていますが。実はダミーです。(アルミ板に鉄板を当てて打ち出すようにしてみましたが、所詮素人の考える事で簡単には出来ませんでした)
ガソリンタンクのコックだけでもと叩き出しましたが、全く見えない部分で訴求力皆無です。



クラッチカバーはアクリル製?錠剤が入っているケースを切り出しました。
ピッタリの形状とサイズの空ケースを探し出すためにはお薬好き出ないと揃わないかも知れません。
 
タンク上面左側ラインの黒ずんでいるところがキズ補修の部分です。
修正すると益々おかしくなりますのでそのままタッチアップで誤魔化しています。

クラッチワイヤーアジャスターは1.6mmのプラロッドから。
私の工作技術では溝切が8本で限界でした。チョット物足りません。
部品つくりのなかで今後の課題になります。

クリップハンドルのホルダーは4mm径のプラ棒に3mmの穴を開けて作りました。肉厚05mmになりますが非常に難しい工作でした。

福岡県西方沖地震発生に対して、たくさんの皆さんからお見舞いのメールをいただき有難うございました。厚くお礼申し上げます。


あとがき

2月中旬からRC110の改修を始めましたが約1ヶ月半もかかってしまいました。今回に限って全く手を付けられない日が多くて緊張感の継続が出来ずに実作業がきわめて効率の悪い手順になっていたようです。やはり出来るだけ毎日5分でも取り組む環境が大切なのですが(プラモつくりにそこまで考えるの?)・・・・・作品に話を戻しますと「改修とは再製作なり」です。やはり部分補修の範囲で止めるのが正解でしょう。
最近金属素材の使用についてジレンマになっています。今回の改修に限り徹底的にプラ素材を使用しようと決めていました。プラにこだわるつもりもないのですが、金属加工の経験値不足が原因なのです。ともあれスポーク・サスコイル以外は殆どプラを素材にしました。しかし、加工が容易だろうと思って工作を始めると、曲げ難い・脆弱・変形の欠点が見えてきます。唯一の利点は接着だけでしょうか。特にレーサーの場合、タンク・シート以外は殆ど塗装のない金属仕上げの表現になります。さらにスケール質感の問題もあり、その答えは到底見当たりません。

現在、新規製作1台が終ると、次の作品を考える時間に旧作品のレストアをするような順番になっています。そうしますと次回作品は新作が順序のようです。日本車が続きますが、次回は
CB72・ヨシムラスペシャル・1:9を検討中です。このマシンに関わった、たくさんの方たちの検証も交えて少し長いスタンスで挑戦してみたいと思っています。



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