MODELING NOTE  File 33
 
  HONDA CR-71  PRODUCTION RACER  (1959) 連載5回予定        FULL SCRATCH

 カットの食玩はアサヒビールの貴重品ノベルティで
 知り合いのお酒屋さんから戴きました。


CRー71は幻のレーサー?
鋼板バックボーンフレームでまとめられた量販車ドリームC71のスポーツタイプは既にCS71の呼称で発売されていました。第一回浅間レース以来、ヤマハYDSに苦汁を飲まされていたホンダとしては市販スポーツで何としても勝利を勝ち取ることが国内レース参戦のひとつの課題でもありました。
マン島TT挑戦に向けて開発されたRC142のテクノロジーを移植して250cc版のスーパースポーツを発表しました。レースキットを使って本格レーサーに。名称もついにCRが付けられ同時発売の125cc、150ccにはCBとしてはっきり線引きをしていました。
CRー71の誕生は、あくまでもヤマハに一泡吹かせれば目標達成で終わり、決してそんな事はないと思うのですが、マシンの生産もレース規定台数で打ち切りのようでした。当時いろんな噂と尾鰭がついて本当の事はよく分かりません。何れにせよきわめて高価な材質で構成されマニア垂涎の1台でありました。購入も申し込みのあと審査に合格することが条件でした。その結果殆どの人が購入できていないのも事実です。
YDS浅間タイプを製作した時、自分が少しヤマハに偏りしていると感じていました。もっと早く取り組むべきだったのですが、資料、技術的な課題が未解決でした。またホンダマシンとしてはマイナーな知名度で、それも足踏みのひとつかも知れません。第1回では参考にした古い雑誌資料(53年前)も順次ご紹介します。


 5月12日  資料の洗い直しから 第1回

最後のアルミ(H)リム

今回のCRー71製作の動機のひとつは、ロッド番号58のアルミリムを残していたからです。リムは40穴で18/300適合となりますとホンダ250〜350ccのマシンしかありません。親しい方からの頂き物で、いい加減な使い方ができずに出番待ちの状態でした。袋から取り出して見事な仕上げにうっとりして、もう作るのは止めようかと思ったくらいです。

実は私の工作技術ではまだ未解決の部分が若干残っています。ただそれが解明できる見通しもありません。思い切って挑戦(便利な言葉です)しました。考えるとC71のエンジンをパイプフレームに積み替えた、フロントのボトムリンクサスを強化させた、カムの駆動をチエーンからギヤに変更した。チタンやアルミ素材を惜しげもなく投入した。実車を確かに大変な変身ですが、模型つくりではあまり悩む事もないのかも知れません。
参考にした雑誌資料

この時代の雑誌は一応保存しているのですが、殆どモノクロ写真3枚程度しか掲載されていません。また解説も情報不足からか簡単併記でした。その中でモーターサイクリスト59年9月号にレースキットを使ってロードレーサーに改造記事がありました。パーツリストを含めて5ページに及ぶもので驚きました。
私自身見落としていた部分もあり図面作成の上で参考になりました。しかしマシンが多く出回っていない面、これマニアルと決められる資料はありませんでした。断片的な資料の足し算で何とかまとめた、そんな状況です。

モーターサイクリスト誌
1959年9月号から
ハブの工作(1)

アルミリムに舞い上がり、今回は足回りを最初にと決めてハブから着手しました。特別なことではないのですが、プラ素材はタミヤ1・5mmと0・5mmを使用しています。リブ部分にスポーク穴0・5mmを空け面取りをするので強度が必要です。硬い分だけ
逆に工作は容易です。

工作手順は前輪2枚のリブ部分(大きめの円形)を両面テープで貼り合わせて最初に中心を抜きます。入念な作業をすればカッターと紙ヤスリで出来ますが真円が簡単にいきません。金属リーマー30mm径を使うと材質がプラですからサクサクと削れてきちんと仕上がります。この段階で05mmを裏打ちに貼り付けておきます。接着確認後に外周部分をルーターで削り落とし、接着面に瞬間を薄く流しておきます。
ハブの工作(2)

リブ部分のテーパー加工をします。ルーターを使って作業しますが内周部分を削りすぎないように、1・2mmのダミープラ板をネジ止めして予防対策にしています。リブ外周部分の厚さは1mmを目安としています。このあと40穴の平面治具?を使ってスポーク穴を、最後に面取りをします(スポークに志賀虫ピンを使用しますが、0・3mm深さくらい取れば頭がきちんと収まります。面取りには1mm径の刃を使いますが、ポイントは逆に半回転させてから軽くなぞります。いきなり正方向に回すと切れ込み過ぎて失敗します。

ブレーキドラムの工作
05mmと03mmのプラ板の貼り合わせでいつもどおりの工作で詳細は割愛します。
これ何?

ハブの工作で並行作業していた前後輪のブレーキドラムのパネルです。ハブとキッチリと合致して喜んで未加工のままでした。
普通、併せて終わらせるのですが、RC71のFフエンダーはボトムリンクサスの為ブレーキパネルに複雑な取り付けがされています。今考えると上下移動、更に前後に大変ストレスのかかる運動を強いられていたと思います。
まずフエンダー(困ったことに約半周タイプ)をつくりサスのピポット部分が確定しないと工作に掛かれません。
シリンダーまわり

C70系のエンジンフインは、あとのCB系に比較すると薄くて少し浅いつくりで全体的に角張って見えます。オイル冷却の違いなどあるのでしょうが、模型としては72の方が作り易い気もします。資料通りのフイン枚数を割り付けしていますが、まるで油冷エンジンのような雰囲気をしています。

上左からシリンダー、ヘッド、カム台座とフインを積層接着後、給排気部分の埋め、タペットカバーとプラグ台座の新設、コンタクトまわりの切り込み、回転計の取り出し口など追加工作します。ひとつ作業がなくなるのはチエーンテンショナーの調整口くらいでしょう。この辺の作業はかなり時間を取られました。


おことわり
製作目的のマシンの写真が掲載出来ないレベルでした。
現在準備中で次回ご紹介させてください。
右の写真はご存知C-71量産モデル。ドリームの愛称で当時の250代表車両で立派な車でした。しかしCR71を目にしたときこれは別格のマシンだと思いました。

左の写真は前述のサイクリスト誌裏表紙の広告です。
CB2機種とCR71が掲載されています。記述も簡潔にCR71 150キロ 24馬力 23万円とだけしかありません。デイラーはなぜかCB150を熱心に勧めていましたが、いま思えば販売中止のの内定が噂されていました。KTAに属していた米国軍人がサンプル展示車を強引に1台商談して早々に本国に送った話もありました。「アメリカまで回収にはいけないよね」引き取り作戦があったのかも知れません。。
クランクケースに着手

イタリア車をはじめ、クランクケース左右の曲面の上がりが完成度を表すといってもよいでしょう。これらの部品はルーターとナイフと紙やすりが中心になります。意外に旧態以前とした手法です。平面図からトレーシングペーパーにコピーして予め積層接着したプラ素材に貼り付けて、大きくはみ出している余剰部分をエクザクトのカミソリ鋸で切り落としてから、垂直の状態で正確な形を切り出します。途中平面図に何度も重ねてチエックします。大きな膨らみや段付きの台座などがある場合別部品で分けて造るほうが工作も早く仕上がり精度も高くなります。素材は殆どタミヤプラ板2mmが中心です。今回は2mm3枚を三日前から
バイスで圧着して準備していました。でもまだ完全ではないようです。
クロバーシルクピンの扱い

キット製作でも同様のことが起きますが、スクラッチ製作ぼ場合困るのはネジナットの部品です。いろんなルートでなんだかんだと見つけていますが、左の写真は今回の71のポイントカバーの留めネジです。線径05mm鋲の部分が1・2mmほどあってそのままでは使えないサイズです。ピンをルーターで咥えて中目の鉄ヤスリで直径08mmまで削ります。丸皿が綺麗な形状に替わります。09mm径で面取りをしてフラットな位置まで押し込むと完全です。何年か前からシートのリベットなど削って使用していますが高品質なのでしょう全く錆も出ませんし表面は光沢を保っています。

左側が加工したピンで面取りした深さに収まっています。右のピンは未加工でその鋲頭部分が大きすぎるというのがご理解願えると思います。

次回はレーシングキャブ、エンジンン完成まで進めたいと思っています。
       2012年5月12日              柴田 一彌


5月27日  エンジン部分の続きから 第2回
製作予定のCR71

モノクロ写真ですが当時ホンダから発表されたCR71。
前回ご紹介したように市販スーパースポーツと呼称で公道走行を前提にした表現になっています。今回はこのスーパースポーツにレーシングキットを装備したロードレーサーにしました。YDSの流麗なスタイルと比較するとCR独特のゴツゴツした感じのマシンです。このあと本格的に市販されていく完成度の高いCR72より何故か71ファンが多いのは荒削りな部分が魅力なのでしょうか。

模型工作では厄介な所が沢山あって、魅力を超えて困ったの連発です。


写真上
クランクケースカバー
ダミーのボルトが見えるように大きな写真にしました。キックレバーのシャフトの穴には軸と併せてゴム製のシールを埋め込みます。

写真左
前回工作の終わったシリンダーを中心にクランクケース部分の各パーツをまとめた状態です。素材からの工作はほぼ今までの手順と同じで白いプラの断片の連続になりますので若干省略させていただきました。クランクケース前面につくセルモーターを外した跡に取り付けるプレートは未処理です。
エンジンブロックの側面から

ヘッドカバーの上にエンジン懸架のラグがまだ1ケ所しかつけていません。2箇所ありますが、フレームが完成してから取り付けます。ミリ以下の精度が要求されるので俗にいう後合わせ仕事です。エンジンヘッドカバーにある回転計取り出し口は新たにフインをつくり別部品としました。エンジン部は写真撮影のため両面テープで仮止めしています。塗装は写真上の区分で色を変えていきます。光輝塗装は事前にグロス黒を下地として吹きます。
同じような写真の連続です。
エンジン下部の見えない部分もフインを切っています。オイルパン、ドレンボルトも定位置に配しています。わざわざ逆さまの写真まで用意したのに苦心の跡が十分見えていません。
今回、エンジンつくりがうまくいったという感じで舞い上がり、途中工程の写真が撮れていません。
反省しますと、前述のクランクケースのダミーボルトのくだり、ここ見て下さいが見え見えです。

結果として大口を叩いていますが、素材がやっと部品らしきものになってきた段階です。
エンジンの別部品

左上から高圧コイル2個(4・8mm径、間違って旋盤で削りだしをしてしまいました)
その下は回転計取り出しユニットです。ヘッドカバーと同じくフインの貼り付けが難しくエンジンつくりののポイントになる長い時間となりました。
中央の下は既にご紹介したコンタクトカバー。
右はプラグキャップ2個です。C70系のパーツリストの形状をもとにしています。
プラグはつくりません。台座部分だけを追加する予定です。
キャブレターキット?

標準装備は京浜製が付けられて、そのまま調整をしてレース出場もあったようですが、別途準備されたキャブはフロート別体、ミキシングボデイがマニホールドと100度のオフセット角を持った28mm径のアマルタイプのようです。多分浅間ダートコースを意識のため別フロートでより安定した給油を考えたのでしょう。しかしフレームからボデイが吊り下げられる別体型は位置と高さ調整の難しさで整備性の不利面が大きく、結果標準品装備で一定のレベル確保が選ばれているのかもしれません。今回は模型工作ですからレーサーの顔を出す事も必要で、一応記憶の範囲でレーシングキャブの採用としました。
バッテリー

こんな部品を後回しにするとついいい加減な工作をします。
しかも今回オイルタンクと背中あわせで露出しています(標準装備はひまわり容量の小さいもの)早めに工作しました。
どうして、バッテリーごときを持ち出して?・・・・・・
今回、ほぼ1日かけて作りました。実は無塗装です。黒のプラ素材、白いプラ板、赤いプラのランナー、アルミロッドを使って
コンパウンドで磨き出しをして樹脂製品の外装そのままに仕上げてみました。出来上がりは別にして楽しめた一日でした。

フレーム工作に着手

スクラッチ製作の場合、工作の工程が前後相反します。ひとつの部品ができると、小さなアッセンブリに(接着乾燥)の時間が必要で、その間に単品として手をつけられる工作を入れます。フレームの場合、一挙にはできません。バックボーン部分とステアリングヘッドが固定するまで最低2日間、そしてタンクレールと平面工作を下ごしらえをします。特に熱加工で曲げ工作を施したものは1週間後くらいに再点検が必要です。
ねじれ、歪みはつきものですから修正しなくてはなりません。
これは骨格部分のみ修正も終わった状態です。

フレーム素材はステアリングヘッド5mm バックボーン4mm
タンクレール2・5mm

後輪スイングアーム

前にもご紹介したように大口径パイプバックボーンのフレームは一見簡単なようですが、工作精度の出しやすさや組立手順もWクレードルが作り易いと思います。
後輪スイングアーム、これで出来上がりと言えばそうなんですが、一部不明部分が解明できていませんので、ここで中断しています。
ステアリングアッパープレート

冒頭、お伝えしたようにCR71の製作で工作技術の課題が大きすぎるというのは、今までの知識や経験で補完し得ない特殊な構造が多過ぎることです。現在工作中のプレートですが
プレートは簡単に・・・・ところがプレートとインナーチューブを締めるボルトは8箇所の切り込みがある特殊な形状をしています。直径6mm(模型実寸)ですからごまかせないサイズです。プラ板切って貼り付けて、そう安易に片付けられない。
資料を見れば見るほど正確に工作をしたいと追い込まれました。
7mmのアルミ棒を旋盤で削り出して8方向から1mmのヤスリで切り込みを入れて表面を緩やかな曲面で磨き出しをしています。まだ途中段階です。

これは何だ

CR71製作の難問題ひとつにステアリングロアープレートがあります。平板のつくりではなくパイプを横置きにしてフロントフォークを貫通させている仕組みです。パイプは楕円径で断面イッパイで切り落とされたような仕上げです。当時クロモリ製だからこんなことが出来ると聞かされたものですが真偽は分かりません。
ロアープレートの楕円パイプをつくるために事前に3mm4mm5mmのプラ板を丸めて慣らしている状態です。とんでもないローテク作業です。


次回はフロントフォークまわりをまとめたいと思っています


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