Modeling note file 16

BULTACO 50cc  1977  GP RACER    連載 4回の予定
 
ブルタコTSS125 市販レーサー(1961年) 

ヨーロッパで始めて小排気量ロードレーサーを一般ライダーに売り渡したブルタコ社の有名な125ccストレーサー。
日本国内でもまだタイムトンネルなど旧車レースで活躍しているのが見受けられます。

資料が揃えば作りたいマシンの1台です。エンジン側面のロゴマークの事を考えるとプロターキットの転用もありますが、結局キットも入手できなくてそのまま先送りの課題になっています。

  BULTACO どうしても作りたかった50cc究極のマシン

既にこのホームページでもご紹介していますがクライドラー50cc(1977)と並んで「小さな巨人」と呼ばれる
ブルタコ50ccレーサーに挑戦?しました。前述のクライドラー50は多分20年前くらいに製作したもので、
エンジンの一部を転用して自分としてはほぼフルスクラッチの作品でした。いまだに補修をして、タイヤを水洗いしたりしながら保守をする事で、50cc作品のなかでもちゃんとした存在感を見せてくれています。
月刊誌バイカーズステーション創刊3号(1986年12月発行)に特集記事がありますが、意外に知られていないブルタゴ50の背景部分を少し雑誌記事とその他の資料からから転用させていただき少しご紹介します。

50ccの世界選手権はご存知のように1962年から1983年まで22年間も続いていました。GP昇格した数年間、スズキ・ホンダの圧倒的な超精密マシンから生み出される圧倒的なパワー競争、中小のメーカーやビルダーでは到底参戦できない環境を、レギレーションの改正によって最小排気量レース本来の目的にもどしていくことで、このクラスでは異例と思えるほど長期間の開催ができました。
スズキ・ホンダが50ccクラスから撤退したあとイタリア勢が8社、ドイツ(東独含む)から9社、スペイン、オランダそして東欧圏と26以上の車種が新しい50cc規制に賛同して新たな小排気量マシンの再開発に参画して厳しい規制のなかで素晴らしいマシンが沢山誕生する事になったようです。

今回、製作するブルタコ50は元々イタリアのヤマティの2人のライダーと基本メカを木工機器製造メーカーが引き受け、さらに1976年にブルタゴ社に譲り渡されていきなりブルタコの名前をつけられたマシンです。
1981年頂点に立ったマシンは出力23ps18000rpmで単気筒50ccとは考えられない数値でした。
しかし、ブルタコはアメリカでの販売戦略でつまずきこの年でGPレースから撤退をします。


1976年に企画された最初のモノコックボデイマシン。
側面に強度を保つために3本の大きめのリブがついています。
空洞実験と合わせてスペイン空軍の協力を得てまとめられたような記事もあります。ほぼ基本形は同じですが、エンジン出力で約17〜18hpを搾り出していましたが、車体重量で77年タイプとは4kg以上重いといわれています。

                 
 註  Mick Walker's european racing から
アラン・カーカストが究極の100台のレーシングマシンに採り上げた解説写真、これは明らかに1977年以降のマシンですが、多分プライベーターにわたった数少ないマシンと思われます。
エンジンの懸架、ラジエーター、Fフォークの変更など、至る所で小改装がされているようです。
977年初期型でしょうか、リヤシートやオイルタンクの位置がやや不明確ですが、FMMに展示予定であったマシンとほぼ同一です。
今回の製作は確かな資料という事から、バイカーステーション創刊3号掲載(小関和夫氏解説)記事を中心にそれらを補完する資料でまとめて、レストアコンディションの状態を目標にしました。閲覧いただく皆さんで許容しがたい誤りをありましたら是非ご指摘下さい。




  第1回  5月18日  問題パーツの解決から

さて製作構想は固まっているのですが細かな工作上の障害が、待ち受けているようです。自作可能と無理なものあります。
この3点だけは他の部品から転用あるいは作り変える必要がありそうです。

ホイル    カンパニヨールZT−1 F200・18 R225・18 ほぼ50cc専用のスリムな形状です。
            前に製作したクライドラーのホイルは星型の直線構成で自社製何とか作れましたが、
            カンパニヨールの微妙なラインは再現できないだろうと邪道ですが、プロターキットで
            最もそれに近い(ミナレリ125)ホイルを薄く加工する事にしました。
            幸いにジャンクボックスの中でタイヤにも侵されず使える状態でした。・・・・決定
2、タイヤ
     実車ではミシュランPZ−2、200・18F 215・18Rの仕様で偶然ライバルのクライドラーと共通でした。
            結局それでスズキRK66のタイヤを転用するようにしました。
(何故共通?サイズとパターンが似ているだけ)
3、タンクマーク  カミナリを手で掴んでるような変なロゴですが直径7mm程度です。現在正確な色配分を調べています。
            多分インクジエット印刷で可能と思っています。


ミナレリ125キットのホイル

元々ミナレリ125にはややオーバースケールと思える幅広タイヤが付けられています。したがってスケールよりやや大振りで、275・18まで十分対応できそうなサイズです。問題点は中空タイヤの関係で幅5mmの大きな突起(左側未加工)があります。RK66のタイヤを収容するために(右加工済み)約8mmの削りこみが必要になります。1mm深くするとスポークに当たりますから最初にこの作業をこなして、足回りが駄目なら止めるくらいのつもりでした。
プラ素材も加工したものは経年変化が若干早いようで、やはり相当脆くなっておりルーターの力加減では
簡単にひび割れにつながります。
同じような写真ですが、タイヤの溝をやり直してから
旋盤を超低速で動かして約1mmほど削り細くしました。未加工と対比すると1mmの差以上にスリムにそれらしくなりました。(これで何とかいけると製作続行の決定)
加工済みのホイルにタイヤを

このマシンにはフエンダーが装備されていません。
特に前輪部分はきちんとしたものになっていないと
見苦しい部分が強調されます。
リム幅とタイヤ幅のバランスを十分チエックしておく必要があります。

デスクブレーキの製作はFフォークが完成してから作る手順になります。
Fフォークを作る

資料によれば、ブルタコ50は市販を全く考えないマシンのため、部品は全てワンランク上のものが使用されているそうです。近道はないかとミナレリのマルゾッキを考えてみましたが全然別物で、結局新規に製作することにしました。05mmの肉厚を残して真円を出してパイプを重ねる工作にはやはり機械のお世話になりました。
苦手な旋盤機器を使って慎重な作業をやっています。
粗状態のFフォーク

まだマルゾッキと呼べる状態ではありません。
左側が完成に近い状態です(ブレーキキャリパーのステイは仮付け)
右が未加工の部品の集合です。こうして見ると片側でフォーク含めて僅か
4点の点数ですが、実際はボトムケース部分だけで9個の部品の組み合わせで構成されています。資料が豊富になるほど作り込みしたくなり、だんだん部品の数量が比例して増えて、日数が経過するとこの部品は何に使うのかと混乱してくる事もしばしばです。
小箱を用意したり、ビニール袋に分けたり試みはいいのですが、工作途上では、そんな事忘れて部品の出来ばかりに注視して実行できません。
ステアリングまわり

Fフォークの位置決めが出来ないと作業が進みません
実車は肉厚40mmくらいの平板で作られています。
恐らく社内製作の一品ものだと思われます。
若干ラフな判断で2mmプラ板2枚積層しました。
形状についてはほぼ間違いありません。
左側アッパーブリッジ。右側アンダーブリッジ。
クリップハンドル

ブルタコ50の場合Fフォークから前方にバーを出している。計算の範囲で設定していますが、正しいオフセット値は確認できていません。ハンドル幅は最終的に46cm程度に収められているそうです。
いずれにせよ、モノコックボデイとステアリングヘッドの兼ね合い、さらに中容量のラジエター設置などが
絡んで上でのライデイングポジション、ハンドル位置の決定になったのでしょう。現在資料を蒐集中の部分もありますので完成までに確認したいと思っています。レバー類はC社製を加工して使用予定で
す。
 第2回 5月31日 基本部品の構成を
フレーム?タンク

一体で出来ているモノコックボデイ、タンクとフレームがほぼ直線で切り紙細工のように簡単にできました。車体幅は1:9スケールでは実寸約12mmくらいになります。実車ではこのフレームのなかにオイルタンク、バッテリーまで収容されて燃料部分はタンクの一番下に設定されているようです。模型の場合強度保持のために実車とは異なるセパレーターを付けています。


1・5mmプラ板を使用しています。一部曲面があって削り込みの必要な部分には2枚合わせの裏打ちを追加しています。
左側面から

ステアリングヘッドを組み込んで基本骨格が出来上がりました。ここまでは非常に簡単、従来のパイプフレームの曲げや繋ぐことを考えると格段の時間短縮です。
しかし決してそう上手くいくものでは身構えていますが。ともあれ平面図面とも全く誤差なしでした。
上面から

この部分だけを見ると細い滑り台のように見えるだけで果たしてフレームの強度やエンジン懸架の関係など十分理解できていません。ただ驚いた事に貼り合わせが完了したあとの強さは格別でいつもパイプフレームの脆弱さと比べ物になりません。勿論これはバックボーンを構成する部分ですから当然なのですが。

可動しないプラモにあまり色んな問題点を投げかけても無意味な事と分かっているのですが、まだまだ面白い発見があるでしょう。
シートの製作

直線でもない、曲面とも呼べない。基本的には直線をベースに緩やかな丸みを持った形状です。
したがって最終形を想定して2・5mmプラ1枚もの素材を左右対称で切り出して貼り合せています。
正確な角度を出すためにあとで取り外す当て板が2ヶ所あります。
側面を貼る

2日間ほどで完全接着します。そのあとで側面の素材を貼ります。さらに2日間経過してからルーターで整形をします。厚さ2・5mmですから、思ったとおりの緩やかな丸みを出しながら直線的な形状を出す事が出来ました。素材2・5mmプラ板はE・G社製ですが最近全く店頭では見かけません。あまり使いませんが手元にあると便利な素材のひとつです。
シート台座1

完成するととてもユニークな形状です。
これはフレーム幅が極端に狭いためヒップ部分だけを拡げているからです。フレームに乗せると、一番広い部分にリヤサスのピポット支点が被さるように、巧みに空間が利用されています。
シート台座2

穴が2ヶ所空いていますがシートクッションを取り付けるためで実車にはありません。このクラスにしてはかなり厚めラバーが使用されています。

1200のサフを軽く吹いています。
写真の追加です。

前回のカンパニヨールのホイル、極細に削り込んだ自慢話ばかりすみません。ビートのかかる部分のリブを付けていない写真でした。左が後輪用で02・5mmの
プラ板をサークル状に切り出して貼り付けています。
右側写真はブレーキデイスクなど加工済みの仕上げた素材です。

追加したリブ素材はE・G社製でタイヤが侵食する恐れは全くありません。

左前輪デスク

細い筋彫りが均等になりません。サフで消してならしている状態です。

右後輪用デスク

失敗を恐れ平板を加工中です。実車の素材は鋼鉄製が使われアイアン色のようですから何とかまとまるでしょう。
写真は少し無神経ですサイズは後輪が随分小さくて丁度反対の割合です。
途中で小物部品も

チョット気分転換もかねて、一部の小物部品を作ります。左は見てのとおり、アクセルワイヤー(ガイド付き、防水ゴム加工も)ワイヤー外径075mmの極細電線の芯線を抜いたものです。

右はフロントアクスル

2mm径真鍮パイプにタップを切り、片側を角突きボルトを付けて本格的に準備しました。

こんな工作が本当は予想外に時間が必要になります。
ミクニVM28キャブレタ

いつも細かい製作工程はお伝えしていますので今回は割愛します。別途にピストンはピカピカに仕上げて準備しています。当然ロータリデスクでエンジン左側に小型の吸気デスクプレートがあります。
詳細資料を現在WEBで検索中ですが確定的なものが見つかっていません。いつもの逃げ口上であればほぼ見えない部分ですが。スケール的にはほぼ完璧のサイズです。過去の経験から、塗装のあとでパイロット・スクリュウなどは付加したほうが仕上げやすいようです。
10mm角でも32個のパーツ構成点数です。塗装仕上げが楽しみです。
シリンダーヘッド1

左が水冷シリンダー、航空機用アロイ素材から削りだされる1本もので仕上げはバルセロナというより、一連のイタリアングループ、ヤマティの思想が流れているようです。シンプルで美しい仕上げ、模型では上手く表現できるでしょうか。心配です。

右側ヘッドです。

水冷循環ポンプがシリンダーヘッドに組みつけられています。12Vの電動モーターで駆動されます。
ポンプ部分は仮組み状態でです。
シリンダーヘッド2

上記の写真をばらした状態で写したものです。
約13mm角の広さにポンプ、ウォーターホース、サーモ、電気ケーブル、点火プラグなど沢山の部品が複層して収集が付かなくなります。時間をかけてこれらのの処理をキチンとやっておかないときわめてバランスの悪い結果になります。
さらに、サーキットによってはサブラジエーターを追加しているケースもあります。(想定外でした)

次回はクランクケースを中心に工作を続けます。


                       柴田 一弥
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